京義線は、ソウルと新義州(シニジュ)を結び、総延長は約500kmです。しかし、現在は非武装地帯(DMZ:Demilitarized Zone)で南北に分断されています。
2000(平成12)年6月の南北首脳会談を受けて、翌月に開催された第1回南北閣僚級会談で南北双方は京義線の連結に合意しました。
韓国側の工事は順調に進み、昨年9月末には臨津閣(イムジンカク)までの運行が再開し、さらに本年4月にはDMZ手前にある都羅山(トラサン)までの運行が再開されました。同月、金大中大統領は訪韓したブッシュ大統領とともに都羅山駅を訪れ、そこで「南北に暮らす離散家族が、この列車に乗って往来し、故郷や肉親を訪ねるようになることを心から望んでやみません。」と述べ、南北和解に期待感を表明しました。
また、京義線が連結されることによる経済的なメリットも指摘されています。昨年8月の露朝首脳会談では、両国はシベリア鉄道と朝鮮半島の鉄道を連結させることに合意しました。それは京義線の再開通による南北の鉄道連結のみならず、北朝鮮の鉄道とシベリア鉄道の連結、及び新義州での中国の鉄道との連結の可能性を意味し、韓国とユーラシア大陸を鉄道で結びつけることとなります。こうした期待を、金大中大統領は本年1月の年頭会見で「京義線の連結は、巨大な中国市場に進出し、太平洋とユーラシアを結ぶことによる朝鮮半島の時代の到来をもたらし、朝鮮半島の人々に将来大きな繁栄をもたらす可能性があるプロジェクトである。」と述べました。
しかし、北朝鮮側の工事は進んでいないと言われています。また、先に述べたように南北双方はDMZを挟んで厳しく対峙(たいじ)しており、DMZ内には多くの地雷が埋設されていると言われています。京義線の連結はDMZ内に線路を敷設することを意味することから、DMZ内に埋設されている地雷除去の方法などを南北双方で合意する必要があり、00(同12)年11月から昨年2月まで5回の南北軍事実務協議が開催され、南北朝鮮の間で鉄道などの建設作業のための「合意書」を作成しました。
韓国側は早期に「合意書」に署名し、DMZ内の工事に着手したいとしていますが、北朝鮮側はいまだに署名をしていないためDMZ内の工事が始められないままです。また、昨年2月以降、南北軍事実務協議も中断しています。
北朝鮮側の消極姿勢の背景には、
DMZ内を管理する軍が京義線の連結により軍の態勢に影響が出るとして反対している可能性、
京義線再開により韓国からの情報流入をおそれている可能性、
軍事面に資源を重点的に配分しているため、工事費用を負担することが困難である可能性、
北朝鮮が南北対話を進めること自体に消極的となった可能性などが考えられます。先に述べたように南北間の信頼醸成(じょうせい)が実現されていない現在、北朝鮮の今後の姿勢は不透明です。いずれにせよ、この問題に対する北朝鮮の姿勢は南北対話全体に対する北朝鮮の姿勢を推測する一つの指標となるでしょう。
