周囲を海に囲まれているというわが国の特性のため、侵略国は、わが国の領土を占領しようとする場合、着上陸(ちゃくじょうりく)作戦を行わなければならない。このような特性に加えて、守勢の立場にある防衛の態勢から、陸上防衛作戦は、一般に、この着上陸(ちゃくじょうりく)侵攻に対処する形で始まる。着上陸(ちゃくじょうりく)侵攻は、通常、侵攻正面における航空・海上優勢を得た後、艦船や航空機により地上部隊を輸送し、相手国の国土に上陸又は着陸させて行う侵攻形態である。
侵攻する地上部隊は、艦船や航空機により移動する間及び上陸や着陸の直後は、組織的にその戦闘力を発揮するのが難しいという弱点がある。このため、着上陸(ちゃくじょうりく)侵攻対処のための作戦では、この弱点をとらえ、できる限り洋上から海岸地域の間や着陸地点で対処し、これを早期に撃破することが必要である(注3−78)。
この作戦は、洋上、海岸地域及び内陸におけるそれぞれの対処に区分される。
(1) 洋上において、自衛隊は、艦艇、支援戦闘機、地対艦ミサイルにより、海上からの侵攻部隊をできる限り洋上で撃破し、その侵攻企図を断念させ、又はその兵力を消耗させることに努める。また、航空機を利用して侵攻する部隊に対しては、努めて空中で撃破する。
(2) 海岸地域においては、海上自衛隊は、機雷を敷設(ふせつ)して、上陸する敵の行動を妨害・阻止する。
また、陸上自衛隊は、海岸付近に配置した部隊の火力を集中して、敵を水際で阻止する。敵が上陸した場合、師団(しだん)(注3−79)などの戦闘力を集中してこれを撃破し、わが国土から排除する。なお、敵の空挺(くうてい)攻撃やへリボン攻撃に対しては、主として陸上自衛隊の特科(とっか)部隊などの火力と戦車部隊などを中核とする機動打撃力を発揮してこれを撃破する。
(3) 万一、敵を早期に撃破できなかったときは、内陸部で、主として陸上自衛隊が持久作戦を行う。この間に、他の地域から部隊を集めて反撃し、侵攻部隊を撃破する。
これらの各段階を通じ、海上自衛隊は、水上艦艇や潜水艦などにより、敵の増援の妨害や補給路の遮断(しゃだん)に努める。航空自衛隊は、支援戦闘機部隊などにより敵の侵攻を阻止するか、その戦力を弱体化させるとともに、陸上・海上自衛隊を支援する。
また、作戦全般を通じ、各自衛隊は、作戦に必要な防空、情報活動、部隊・補給品の輸送などを行う。
なお、この作戦の実施に際し、米軍は、主として自衛隊の能力を補完するための作戦を行う。米国は、侵攻の規模、態様その他の要素に応じ、極力早期に兵力を来援させ、自衛隊の行う作戦を支援する。

